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村上ファンド事件を振り返り、コーポレートガバナンスについて考えてみる

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昨日は村上世彰さんの本を紹介しました。
fp-uta.hatenablog.jp

本の中では半生を振り返るような部分もありますが、いわゆる「村上ファンド事件」については触れられていません。
事件について世代的に知らない方や私のように忘れてしまった人もいると思うので、どんな事件だったか振り返りながらコーポレートガバナンスについて考えてみます。

会社は誰のものか

村上さんは1999年に通産省を退官して投資ファンド(いわゆる村上ファンド)を設立し、注目した会社の株式を大量に購入してその会社に物申す、ということを行っていました。
内部留保を溜め込んでいる会社に投資するか株主に還元するかを迫ったり、言うこと聞かなければ経営陣の選任に反対したりとかです。

企業間の持ち合い株式が多いこともあってそれまでの日本企業は株主への意識が希薄でしたし、「無借金経営」を是とする風潮もまだまだ残っていました。
株主から提供された資本や内部留保を使ってさらに会社を発展させなきゃダメでしょ、ということを村上ファンドや海外のファンドが指摘し始めたのです。

ニッポン放送株のインサイダー取引

村上さんはニッポン放送株式を巡るインサイダー取引の容疑で2006年に逮捕され、最高裁まで争いましたが有罪が確定しました。
ニッポン放送の株式取得の主役はホリエモンこと堀江貴文さんで、そのとばっちりを受けたようにも見えます。

当時の村上さん(やホリエモン)への世間の印象は、「金儲け至上主義」「楽して稼いでるイメージ」だったと思います。
それは言い過ぎかもしれませんが、「汗水流して働いてる人が馬鹿を見る世の中ではいかん」という空気を反映した逮捕だったように感じた記憶があります。
単に、既存の大企業と利害がぶつかり、国も大企業に寄り添った判断をしただけかもしれませんが。

お金儲けは悪いことですか?

村上さんのイメージを決定付けたのが、逮捕直前に記者に囲まれた会見で
「お金儲けは悪いことですか?」と記者に逆質問したシーンでした。
あのシーンだけ見て「この人はお金儲けが第一なのだ」と思った人は多かったのではないでしょうか。

当時もなんとなく感じていましたが、お金儲けそのものに善悪はなく、株式会社はお金儲けを追求する組織です。
発言へ至った文脈(記者の質問)は忘れましたが、お金儲けそのものを問題視するような風潮は当時ありました。
昨日紹介した本を読めば、村上さんの発言の意図は判るのではないかと思います。

コーポレートガバナンスは進展したか?

最近は「会社は誰のものか」という議論を聞かなくなった気がします。
株主を重視しなければ、という考え方が当たり前になったからかもしれません。
コーポレート・ガバナンスコード、スチュワードシップ・コードと、企業や投資家が健全な発展を目指すためのルールも策定されました。
村上さんが逮捕された12年前に比べれば進展したとは言えますが、企業の本音ベースではまだまだ変わっていない部分もあるのでは?と思います。

画竜点睛

日本企業のコーポレートガバナンスの状況は、長い目で見た企業の発展に関わるものであり、インデックス投資を行っているのであれば「それとなく」気にしておくべきかと思います。
「ESG投資」が出てきたのもまさしくそういう発想かと。

村上さんが書いた「生涯投資家」も読んでみたくなりました。