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「人口減少時代の土地問題」を読んで

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報道が増えてきた「所有者不明の土地問題」

最近、所有者不明の土地問題に関する報道が増えてきて、先週から今週にかけても新聞に記事が載っていました。
所有者不明の土地 調査へ 登記制度見直し 法務省が研究会(2017年9月29日付毎日新聞夕刊)
法務省、所有者不明の土地 調査 相続人に登記促す(2017年10月3日付日本経済新聞)
(どちらもログインしないと読めません。すみません)
自分も相続登記をしたばかりで関心が高まっているので、出たばかりの本を読んでみました。

教科書的な本

所有者不明土地の問題は長く関係者の間では認識されていながら、大きく顕在化したのは東日本大震災後であり、いまだに全容が誰にも把握されていません。
7月に、この問題についての初めての教科書的な本が出ました。
「人口減少時代の土地問題」(吉原祥子、中公新書)

この本では、自治体へのアンケート調査を基に現状・何が問題かを明らかにしています。
また、歴史的な経緯も詳しく書かれているため、なぜこの問題が起きるのかがよくわかりました。


そもそも、物理的な状況を明らかにする地籍調査がいまだに約50%しか済んでいないことには驚きました。
土地の登記は任意なので所有者の明確化は制度的に担保されておらず、役所内・間で情報の連携もとれていないため、この問題は起こるべくして起こっています。
私たちの足元は意外とあやふやなのです。

強権発動しかないのでは?

解決策も書かれていますが、「できることからやっていくしかない」という感じで消極的な感じです。
抜本的に変えるには民法の改正が必要になる等、大変だということはわかりますが、土地の公共性を重視して財産権を一部制限することもやむを得ないのではないかと思います。

日本は土地売買の自由度が外国と比べて高いということも書かれていました。
「自由」を守るためには、登記などによって所有者を公にするという「責任」が伴うのではないでしょうか。

画竜点睛

所有者不明土地問題の教科書的な本です。